Outline
会社のアイデンティティを宿す「大福神漬」をリブランディング
創業は江戸時代後期にまで遡り、旬の野菜を使った伝統的な漬物を作り続けてきた河村屋。コロナ禍に売上が激減し、卸に頼らない看板(自社)商品の必要性を痛感。2023年1月に10代目に就任した染谷社長のもと、河村屋の漬物へのこだわりや作り手の思いを宿した「大福神漬」のリブランディングに取り組みました。商品の持つ特徴を改めて問い直し、ブランドコンセプトを再設計することで、看板商品として“魅せる”ための商品パッケージとロゴをデザインしました。
Approach
「大福神漬」の現状と可能性に向き合うワークショップを実施
「大福神漬の河村屋」と呼ばれるためにどんなことに取り組んだらよいのか?まず最初に直販部や営業部、製造部等の各部署の人員から編成されたプロジェクトチームを結成。支援メンバーと共に「大福神漬」の特長を掘り下げ、現状の問題点を洗い出すワークショップを開催。部署や立場を問わずさまざまな角度から意見交換を行い、差異化すべきリブランディングの方向性を社員の皆様とともに導き出していきました。
Process
現代の価値観に合わせて大福神漬をアップデート
現状考察を行ったあと、先代社長から「大福神漬」が生まれた背景や製造工程、こだわり等をヒアリングした上で、チーム内で協議しながらブランドコンセプトを策定。その後、コンセプトを体現するコミュニケーション(デザイン)に落とし込んでいきました。
この事業で取り組んだこと
- 社内チームとの現状考察や課題抽出、先代社長からのヒアリング
- 商品コンセプトとメッセージの作成
- コンセプトに基づいたコミュニケーション(シンボルマーク、パッケージ)の実施
Design
Concept
河村屋と「大福神漬」の間に生まれた無二の表現
野菜の旨味を引き出すために「大きくカットされた野菜」、大福神漬の「大」という二つの要素をわかりやすく表現できるキーワードを探っていき「大きく、福よか。」というブランドコンセプトが生まれました。続くメッセージには「三年漬け」「熟成」といった商品の特長、食を通じて幸せを広げていきたい「食べる幸せ」といった言葉を盛り込みました。
Visual
「商品に込められた思い」を社員が進んでお客様に共有したくなるデザイン
店頭販売やギフト商品としてのブランドコミュニケーションを想定し、商品パッケージのデザインを提案。お客様だけではなく社員にとっても分かりやすい看板商品の目印をつくるために、福神漬に使われている5つの素材(大根、茄子、胡瓜、しその葉、蓮根)と「大」の文字をモチーフとした新しいシンボルマークもデザインしました。それぞれの素材が掛け合わさって、「大」きな福が生まれ、大切な人に届けられることをビジュアルで表現。伝統や和をベースとしつつ、5つの野菜の色合いがモダンな印象を与えてくれるデザインになりました。
Comment
代替わりをして、会社として過渡期にある環境下でプロジェクトがスタート。「河村屋の看板商品を社員とともに作りたい」という社長の強い思いに応えるために、社員と支援チームが一丸となって取り組んだプロジェクトでした。商品に対するさまざまな思いや販売現場での知見、会社の歴史やフィロソフィーを全員で共有した先にブランドコンセプトが生まれました。プロジェクトの空気感が変わり、チームの結束力が一段と高まったその瞬間と、安堵と期待が入り混じった社員の皆様の表情がとても印象に残っています。
支援メンバー
- 市川 潤
- 瀧脇 大典
- 長井 康行
Client
株式会社河村屋
〒331-0821 埼玉県さいたま市北区別所町1125-6