インダストリアル

自律走行搬送ロボット「木製AGV」

Outline

自動化とブランディングを両立する、新たな挑戦

日東ユメックス株式会社は、社内の人手不足という課題に直面し、解決策の一つとして生産工程の自動化を模索していました。しかし、単なる効率化だけではなく、企業のブランディング向上や環境配慮も考慮した、新たな価値を生み出すアプローチを模索していました。特に、工場の作業環境の改善や、持続可能なものづくりを推進することが重要視されました。
この背景のもと、同社は木製AGV(自律走行搬送ロボット)の開発を決定。その設計においては、機能性だけでなく、環境への配慮や地域資源の活用を重視することで、企業の理念や価値観を反映させることを目指しました。
当事業では、「木製パネル」と「側面シンボルマーク」のデザイン支援を実施し、企業の理念や環境意識を反映した意匠の確立をサポートしました。

Approach

人との協働を表現する

デザインにあたり、ロボットの活用イメージとして「生産自動化」と「採用力向上のためのブランディング」の2点を軸に設計を検討していきました。木のぬくもりとメタルの堅牢さを融合させ、「人との協働」をコンセプトに進めることになりました。

地域資源を活かし環境配慮型のデザインも

また、日東ユメックスが拠点を置く遠野地区の木材産業とコラボレーションし、地域資源を活かした製品開発を行うことで、環境問題への意識も反映させる取組みとしました。単なる機能性だけでなく、企業の価値観を体現するプロダクトの開発。

Process

機能とデザインの両立を目指した設計

当初の設計では、木製パネルの意匠性を最大限に引き出すため、切削加工を活用し滑らかな仕上がりを実現する案を検討しました。木製家具のような印象を避け、産業機器としての洗練された仕上げを目指しデザインを進めていきました。

産業機器としての実用性と洗練

木材特有の風合いを活かしつつ、工業製品としての美観と実用性の両立を目指し、一部の案では操作パネルや液晶画面の視野性をよくするため、角度を設けるなど機能性についても配慮を行い、フレームへの取付けの容易さなど、パーツ交換やメンテナンスがしやすい構造を複数検討していきました。

この事業で取り組んだこと

  1. 地域資源と木材加工技術を活かした木製パネルのデザイン開発
  2. 「人との協働」をコンセプトにしたシンボルマークのデザイン
  3. 新世代の工場環境を意識したインダストリアルデザインの提案

Design

Industrial Design

木製パネルとフレームの調和

最終的なAGVのデザインでは、木材特有の風合いを活かしつつ、フレームからの飛び出しを最小限に抑えすことで工業製品としての均質な品質を確保。デザインと機能のバランスを図りました。

Visualization

人との協働を象徴するシンボルマーク

本体側面には、本プロジェクトのコンセプトである「人との協働」を象徴するシンボルマークをデザイン。単なる装飾にとどまらず、AGVが人とともに働き、共存する未来を表現しています。工場内の無機質な環境に自然な調和をもたらし、作業者に安心感やぬくもりを与えることを意識しています。

これらのデザイン要素を組み合わせることで、木の温もりと工業的な機能美を融合したAGVが完成しました。

Comment

本プロジェクトの成果として、試作段階を経た木製AGVがいよいよ本格稼働を迎え、「Boomee」として発表されました。木製パネルのデザインや側面シンボルマークが、Boomeeのアイデンティティの一部として組み込まれています。
これにより、日東ユメックスの社内生産自動化が進むだけでなく、企業のブランディング向上や環境配慮型のものづくりへの貢献が期待されます。
今後の展開を見据えながら、引き続きデザインを通じた企業支援を行っていきます。

支援メンバー
  • 株式会社ファシオネ

Client

日東ユメックス株式会社

〒330-0856 埼玉県さいたま市大宮区三橋4-356-1

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